画像が重いと言われると、まず品質スライダーで調整しようとしないでしょうか。 リサイズ・形式・品質・容量指定の4つを測り直すと、効いた順は「リサイズ > 形式 > 品質」でした。 LPの11枚も、この順で2.09MBが261.8KBになっています。

この記事の実測条件
  • 元画像 … 6000×4000px / 4,500KB のJPG写真(筆者が撮影したものです)
  • 計測方法 … PixForgeの画像圧縮ツールと同じ処理で書き出し、バイト数を記録(ブラウザの canvas.toBlob()
  • 容量指定 … ツールと同じ二分探索で品質を探索
  • 計測日 … 2026年8月3日(Chromium系ブラウザ)
  • !注意 … 数値はこの写真1枚の結果です。絵柄によって圧縮の効きは変わるため、傾向の目安として読んでください
実測に使った写真。空のグラデーション、遠浅の海の階調、白い砂浜とヤシの葉が写っている
実測に使った写真。空のグラデーションと葉の細部が同居していて、劣化が判別しやすい絵柄です。

01圧縮より先にリサイズ。ここで9割が決まる

結論原寸のまま圧縮しても48%減にしかならない。幅を1600pxに縮めるだけで96.6%減(約30分の1)になる。

幅だけを変えて書き出した場合の容量(JPG・品質0.80固定)
書き出し幅実寸容量元画像(4,500KB)比
原寸のまま6000×40002,335.2 KB−48.1%
2400px2400×1600326.3 KB−92.7%
1600px1600×1067152.7 KB−96.6%
1200px1200×80090.7 KB−98.0%
800px800×53344.0 KB−99.0%

1行目を見てください。原寸のままだと、4,500KBが2,335KBにしか減りません。たった48%減です。 ところが幅を1600pxにするだけで152.7KB。約30分の1になります。

容量はほぼ画素数に比例します。6000px幅は1600px幅の約14倍の画素です。 そしてWebで6000px幅が必要になる場面は、まずありません。 表示幅600pxの枠に4000pxの画像を置いても、ブラウザが縮めるだけです。 「画像が重い」と言われたら、品質より先に縮めます。

marudee

支給された写真が原寸のまま入ってるサイト、本当によく見ます。まずここを疑うと早いです。

02品質は0.80で固定する

結論0.95→0.80で229KB減るが、0.80→0.60ではわずか58KB。見た目の差も0.80までは分からない。だから毎回探さず0.80に固定する。

品質を変えて書き出した場合の容量(1600×1067px)
品質JPGWebPWebPの削減率
0.95381.9 KB264.6 KB−31%
0.90245.1 KB174.2 KB−29%
0.85185.6 KB125.0 KB−33%
0.80152.7 KB100.3 KB−34%
0.75130.1 KB81.7 KB−37%
0.70116.4 KB75.5 KB−35%
0.6094.3 KB67.6 KB−28%
0.5080.6 KB59.3 KB−26%
0.4068.1 KB50.3 KB−26%
0.3055.6 KB41.5 KB−25%

この表で大事なのは減り方が一定ではないことです。0.95から0.80へ下げると229KB減りますが、 0.80から0.60まで下げても58KBしか減りません。 下げれば下げるほど、失う画質のわりに得られる容量が小さくなります。

品質0.95・0.80・0.50・0.30で書き出した同じ部分の比較。0.30ではヤシの葉の周囲にノイズが出て空にムラが出ている
同じ部分(ヤシの葉と空の境界)を品質別に拡大したもの。0.95と0.80は見分けがつきません。0.50から葉の周囲にノイズが出はじめ、0.30では細部が潰れます。※比較画像はWebP(品質0.92)で書き出しています。

0.95と0.80の差は、並べても分かりません。それでいて容量は229KBも違います。 一方、0.50から下は葉の輪郭のまわりに独特のノイズ(モスキートノイズ)が出て、はっきり劣化が見えます。

0.80は、空のような滑らかな面でも、葉のような細部でも破綻しにくい値です。 写真ごとに最適値を探す必要がありません。

ポイント

毎回スライダーを動かして探すのをやめ、基準値を1つ決めて固定するだけで、判断にかかる時間がなくなります。

03WebPにすると、さらに25〜37%小さくなる

結論品質はそのままでWebPに変えるだけで25〜37%小さくなる。実務でよく使う0.80では152.7KB→100.3KB(34%減)。

先ほどの表のWebP列を見てください。同じ品質のまま形式を変えるだけで小さくなります。

0.80での100.3KBは、JPGなら品質を0.65あたりまで落とさないと届きません。 画質を削って得るはずだった分を、削らずに得られます。 冒頭のLP案件で11枚が8分の1になったのも、元のPNGをWebPに変えたことが大きく効いています。

!ただしWebPは、古いメールソフトや一部の業務システムでは開けないことがあります。 Web掲載用から先に切り替え、メール添付や印刷入稿用は従来形式のままが安全です。 詳しくはWebP変換で表示速度を上げるにまとめています。

04容量指定の案件で、品質スライダーを手で探ってはいけない

結論同じ「200KB以内」でも、手で安全圏を選ぶと94KB。自動に任せると品質0.86で196KB。上限の98%を画質に回せる。

広告の入稿やCMSの制限で「1枚200KB以内」と容量の上限を指定される案件があります。 品質スライダーで合わせようとすると、0.80で超過、0.70でまだ超過…と書き出し直しの繰り返しです。

marudee

これが面倒で、私は昔「確実に収まる」ところまで一気に下げてました。上限を余らせたまま、粗い画像を納品してたわけです。

ポイント

順番が逆でした。「品質を決めて容量を見る」のではなく、「容量の上限を決めて、その中に収まる最高の品質を使う」のが本来のやり方です。

そこで圧縮ツールには目標容量を入力するモードを用意しました。 品質0.95から始めて、上限に収まる最大の品質を二分探索で探します(下限0.30・最大10回)。

目標容量を指定したときに自動で選ばれた品質(1600×1067px・JPG)
指定した上限自動で選ばれた品質実際の容量上限の使用率
300 KB0.92274.6 KB91.5%
200 KB0.86196.5 KB98.3%
150 KB0.79147.8 KB98.5%
100 KB0.6298.2 KB98.2%

「200KB以内」という同じ条件でも、結果はまったく違います。 手で安全圏として品質0.60を選ぶと94.3KB。上限の半分以下しか使っていません。 一方、容量指定に任せると品質0.86・196.5KBで、上限の98%まで使い切って画質に回せます。

同じ200KBの上限に対し、手動で品質0.60を選んだ場合と、容量指定モードが品質0.86を選んだ場合の比較。後者のほうがヤシの葉が明らかに鮮明
どちらも「200KB以内」を満たしています。左は手動で安全圏(品質0.60)、右は容量指定モードが選んだ品質0.86。同じ制約でも葉のディテールに差が出ます。

05「JPGは保存し直すたびに劣化する」は正確ではない

結論同じ品質で10回保存し直しても劣化しない。危ないのは保存の繰り返しではなく、編集を挟んで保存を繰り返すこと。

以前メンバーに画像の修正を依頼したときのことです。 JPGのまま修正と保存を繰り返した結果、明らかに画質が落ちて戻ってきました。 本当に再保存で劣化するのか、2パターンで測りました。

パターンA:同じ品質で開いて保存し直すだけ

同じ品質で保存し直しただけの場合(1600×1067px・JPG品質0.80)
回数1回目3回目5回目10回目
容量153.0 KB152.8 KB152.8 KB152.8 KB

ほとんど変化しませんでした。 一度その品質で捨てた情報を、もう一度同じ基準で捨て直しても結果は変わらないためです。

パターンB:編集を挟んで保存し直す

保存のたびに加工(拡大・縮小など、画素の再計算をともなう操作)を挟んでから、 同じ品質0.80で保存し直した場合です。

編集を挟んで保存し直した場合(1600×1067px・JPG品質0.80のまま固定)
回数1回目2回目5回目10回目
容量153.0 KB132.7 KB120.9 KB116.8 KB

品質設定は0.80のまま変えていないのに、容量がどんどん減っていきます。 画像が良くなったのではなく、細部が失われた結果です。

1回目の保存と、編集と保存を10回繰り返した後の比較。10回後はヤシの葉がぼやけて細部が失われている
左が1回目、右が編集と保存を10回繰り返した後。品質設定は同じ0.80のままですが、ヤシの葉の細部が明らかに失われています。

!つまり危ないのは「保存し直すこと」そのものではなく、「編集を挟んで保存を繰り返すこと」です。 修正作業をJPGのまま往復させると、この劣化が積み上がります。対策は次の2つです。

  • 編集は原本で行い、JPG/WebPは書き出し専用にする … 原本から書き出し直せば、劣化は積み上がりません。
  • 修正を人に依頼するときは、書き出し済みのJPGではなく原本を渡す … 私が失敗したのはここでした。渡すデータを間違えると、相手がどれだけ丁寧に作業しても画質は落ちていきます。

06まとめ:実務の手順

順番を守れば、判断に迷う場面はほとんどありません。 冒頭のLP案件も、次の手順をそのまま適用しただけです。1枚あたりの平均は約195KB → 約24KBになりました。

  • 1. 表示に必要なサイズまでリサイズする … 削減の9割はここで決まります。圧縮より先。
  • 2. 形式をWebPにする … 画質を落とさず25〜37%減。Web掲載用から優先的に。
  • 3. 品質は0.80固定 … 上げても見た目は変わらず、下げても容量は減りません。毎回探さない。
  • 4. 容量指定の案件だけ、目標容量を入力するモードに切り替える … 手で安全圏まで下げると、使える画質を捨てます。
  • 5. 編集は原本で行い、JPG/WebPは書き出し専用にする … 人に渡すときも原本を渡す。元画像は上書きしない。

この記事の実測はすべて、PixForgeの画像圧縮ツールと同じ処理で行っています。 リサイズは画像リサイズ・変換ツール、WebP変換はWebP一括最適化ツールで、 いずれもフォルダごとまとめて処理できます。すべてブラウザ内で完結するため、画像が外部に送信されることはありません。

marudee

グラフィック・Webデザイナー。印刷会社で8年間、制作と入稿データの管理に従事。 その後、権利関係の業務を経て、現在はLP制作と広告クリエイティブの制作・運用をしています。 入稿データの容量規定や画像の権利表示で苦労した経験から、 ブラウザ内で完結する画像ツール集「PixForge」を作って公開しています。