支給されたロゴが白背景のJPGで、背景を抜き直したことはないでしょうか。 写真・テロップ・サムネ・ロゴの4素材を、JPG・PNG・WebPで書き出して測りました。 同じ写真でもPNGは20.6倍、文字ものはWebPで5割減。 判断の基準は、絵柄ではなく「渡す先」でした。

この記事の実測条件
  • 元データ … 写真 6000×4000px / 4,500KB のJPG(筆者撮影)、配信用テロップ 1920×1080px の透過PNG
  • 同上 … 当サイトの記事サムネ 1200×545px、記事用に作ったサンプルロゴ 800×240px の透過PNG
  • 計測方法 … PixForgeのツールと同じブラウザの canvas.toBlob() で書き出し、バイト数を記録。写真だけ幅1600pxに縮小し、透過素材をJPGにするときは白地に合成しました
  • 比較用の別エンコーダ … Python の Pillow 12.3.0(libpng / libwebp を使用。WebPは method=6)
  • 計測日 … 2026年8月15日(Chromium系ブラウザ)。図版のみPillowで書き出し
  • !注意 … 素材4点の結果です。絵柄によって効き方は変わります

01形式は絵柄ではなく「渡す先」で決まる

結論写真はJPG、ロゴとイラストはPNG。動画に渡す素材は透過PNG。Webに載せると決まっているものだけWebPにする。

形式は、絵柄よりも先に誰にどう渡すかで決めています。

私が普段どう決めているか(実測ではなく、決めごとです)
渡す先・用途使う形式理由
作業データ(原本)PSD / AIいちばん使う。修正が入るので、必ずここから書き出す
写真(基本)JPGどこでも開ける。容量も軽い
ロゴ・イラストPNG透過が要る。線や文字がにじまない
動画編集ソフトに渡す素材透過PNG白背景のままでは映像に乗せられない
Webに載せる画像(自分で仕上げる)WebPいちばん軽い。LPを軽くするときに全部変換した

迷うのは、渡す先がはっきりしないときだけです。

marudee

絵柄から考えると毎回迷います。渡す先から考えると、だいたい一発で決まります。

02写真は、形式を間違えると20倍重くなる

結論写真をPNGで持つとJPGの20.6倍。写真はJPGかWebPの二択で、迷う場面はない。

6000×4000pxの写真を幅1600pxに縮小し、形式だけを変えて書き出しました。

写真を形式別に書き出した場合の容量(1600×1067px)
形式容量JPG 0.80比
WebP 品質0.80100.4 KB0.66倍
JPG 品質0.80153.0 KB1.00倍
JPG 品質0.92274.6 KB1.79倍
WebP 品質1.001,817.7 KB11.9倍
PNG3,151.6 KB20.6倍

同じ写真でも、PNGにすると3.1MBです。 PNGは色を1画素ずつ正確に記録するため、階調の多い写真とは相性が悪くなります。 写真をPNGで納品するのは、20倍の荷物を送るのと同じです。

いちばん軽いのはWebPの100.4KB。JPGより34.4%小さくなります。 リサイズ・品質・形式のどれが容量に効くかは、 画像を軽くする一番かんたんな方法で測っています。

03文字とベタ塗りは、WebPの効きが写真の1.5倍

結論写真でのWebPは34%減。テロップ・サムネ・ロゴでは52〜54%減。文字ものほどWebPが効く。

素材別・形式別の容量(JPGは白地に合成してから書き出し)
素材JPG 0.80PNGWebP 0.80WebPの削減率
テロップ 1920×108039.3 KB73.0 KB18.0 KB−54.2%
サムネ 1200×54512.0 KB154.7 KB5.7 KB−52.5%
ロゴ 800×24014.0 KB15.0 KB6.7 KB−52.1%
(参考)写真 1600×1067153.0 KB3,151.6 KB100.4 KB−34.4%

削減率の列を見てください。写真では34.4%減ですが、文字ものはいずれも52%以上。 写真より1.5倍ほどよく効きます。テロップやサムネを何十枚も書き出す仕事なら、この差は大きいです。

ロゴはJPG 14.0KB、PNGは15.0KBでほとんど変わりません。 ロゴをJPGにしても軽くならず、透過だけ失うことになります。 見た目にも差が出ます。

テロップの文字部分をPNG・WebP品質0.80・JPG品質0.80で書き出して3倍に拡大した比較。JPGだけ文字のまわりに細かいノイズが出ている
同じ部分を3倍に拡大したもの。WebPはPNG(劣化なし)とほとんど見分けがつきません。一方JPGは、文字のまわりに細かいノイズ(モスキートノイズ)が出ています。※この図版はPillowで書き出したものです。

JPGはなだらかな階調が得意な代わりに、色が急に変わる境界が苦手です。 テロップや文字入りのサムネをJPGで書き出すと、容量で損をして画質でも損をします。

04白背景のJPGで届いたロゴは、作り直すしかない

結論透過を持てるのはPNGとWebPだけ。JPGで受け取った時点で背景は戻らず、切り抜き直しになる。

白背景のJPGは、白い紙の上なら問題ありません。困るのは色地や映像に乗せるときです。

同じロゴを色地の上に置いた比較。左の透過PNGは背景が抜けているが、右の白背景JPGは白い四角がそのまま残っている
同じロゴを同じ色地の上に置いたもの。左は透過PNG、右は白背景のJPGです。右は白い四角がそのまま残ります。

映像に乗せる素材では、白い四角が出た時点で使えません。こちらで抜き直しますが、 !JPGからの切り抜きは輪郭にノイズが残ります。

ポイント

ロゴは支給の時点で頼むのがいちばん早いです。「AIかPSD、なければ背景を抜いたPNGでいただけますか」と伝えます。

05可逆で持ちたいなら、いまもPNGが確実

結論WebPの品質1.0は可逆になることが多いが、必ずではない。4素材のうち1つはピクセルが一致しなかった。

書き出したWebPを読み直し、元の画素と1つずつ比べました。

  • 写真・テロップ・サムネ … 品質1.0で完全に一致しました。
  • ロゴ … 一致せず、透明部分ではなく絵柄の部分で最大42(256段階中)の差が出ました。

品質を1.0にすれば必ず可逆、とは言えません。 原本に手を入れ、JPGやWebPは書き出し専用にするのが確実です。

なお同じ形式でも、書き出すツールによって容量は変わります。

同じ素材・同じ形式を、別のエンコーダで書き出した場合の容量
素材PNG
ブラウザ
PNG
libpng
WebP品質1.0
ブラウザ
WebP可逆
libwebp
テロップ73.0 KB33.1 KB320.1 KB10.0 KB
サムネ154.7 KB68.0 KB49.6 KB31.8 KB
ロゴ15.0 KB7.8 KB11.4 KB3.2 KB

06WebPを渡してよい相手かどうか

結論ブラウザは主要なものがすべて対応済み。ためらう理由は技術ではなく、受け取る人の側にある。

WebPの対応状況は、MDNの 画像ファイルの種類と形式ガイドで確認できます。 Chrome・Edge・Firefox・Opera・Safariが対応と示されています(確認日 2026年8月15日)。 Webに載せる用途なら、もう心配は要りません。

あるLPでは画像を全部WebPにしましたが、表示側で問題は起きていません。 それでも全部をWebPにしないのは、受け取る人の環境が分からないからです。

  • 自分でWebまで仕上げる … WebPにします。いちばん軽くなります。
  • 先方が編集したり差し替えたりする素材 … PNGかJPGで渡します。開けないと作業が止まります。
  • 確認用に送るだけの画像 … JPGにします。どの環境でも開けます。

marudee

WebPは浸透してきましたが、まだ知らない人もいます。「開けない」と連絡が来るとお互いに手間なので、渡す相手で分けています。

07まとめ:形式で迷わないための手順

実測を通しても、最初の決めごとは変わりませんでした。数字は、その理由を説明してくれます。

  • 1. 渡す先を先に確認する … 絵柄から考えると毎回迷います。渡す先が決まれば形式も決まります。
  • 2. 写真はJPGかWebP … PNGにすると20.6倍になります。写真をPNGで持たないだけで大きく変わります。
  • 3. テロップ・サムネ・文字ものはWebPが効く … 52%以上減り、JPGのような文字まわりのノイズも出ません。
  • 4. 透過が要るならPNGかWebP … ロゴはJPGにしても軽くならず、透過だけ失います。
  • 5. 原本を残し、そこから書き出す … WebPの品質1.0は、必ず可逆になるとは限りませんでした。
  • 6. 相手が編集する素材はWebPにしない … ブラウザは対応済みですが、人とソフトはそうとは限りません。

形式の変換はWebP一括最適化ツール、サイズ変更と形式変換は画像リサイズ・変換ツールで、 フォルダごとまとめて処理できます。すべてブラウザ内で完結するため、画像が外部に送信されることはありません。

marudee

グラフィック・Webデザイナー。印刷会社で8年間、制作と入稿データの管理に従事。 その後、権利関係の業務を経て、現在はLP制作と広告クリエイティブの制作・運用をしています。 入稿データの容量規定や画像の権利表示で苦労した経験から、 ブラウザ内で完結する画像ツール集「PixForge」を作って公開しています。